今回は特にお勧めしておくべき制度「非課税貯蓄制度」について説明したいと思います。

  •  預金のように積み立てられて将来何らかの形で受取ることができる
  •  かつ、その掛金が会社の経費にできたり、控除を受けたりすることができる

上限はありますが、貯蓄しながら高い節税効果がある有利な制度となっています。

非課税貯蓄制度とは

一般的に非課税貯蓄とは、以下のようなものがあります。

  1. 「掛金の全額が経費や控除となるもの」
  2. 「一定の控除ができたり、運用益が非課税となるもの」

今回は、よりおススメするべき「掛金の全額が経費や控除となるもの」4つの制度についてご説明したいと思います。

おすすめの非課税貯蓄 4つの制度

1.小規模企業共済
2.セーフティーネット共済
3.確定拠出年金
4.生命保険

では、それぞれの制度を見ていきましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済は、自営業者のための退職金を積み立てる制度です。

自分で貯蓄するのですが、その掛金全額を所得控除することができます。
税金が安くなり、税率の高い人ほど有利になります。

また、共済金をもらう際は課税の対象となりますが、退職所得控除や公的年金控除を受けることができます。引退に向けて貯蓄を行うには最適な制度となっています。

「小規模企業共済」掛金

掛金

月々1,000円~7万円まで、500円単位で設定することができます。
半年払い、年払いの他、前納も可能です。

掛金上限7万円の場合、年間84万円の控除を受けることができます。

なお、加入後も掛金はいつでも変更できますが、減額変更した後の運用で制約があるなどデメリットもあります。当初、無理のない掛金設定をされるのがよいでしょう。

「小規模企業共済」貸付制度

貯蓄と節税に効果的な制度ですが、契約者向けに低金利の貸付制度もあります。
用途に合わせた貸付制度が用意されていて、掛金の範囲内ですぐに貸付を受けることができます。
コロナ禍で業績悪化している契約者向けに、特例緊急経営安定貸付も行われています。

「小規模企業共済」注意点

デメリット

加入後早い段階で解約すると損をすることです。

廃業、退職等で3年以上経過後に共済金を受取る場合は掛金総額以上のお金が返ってきます。
しかし、20年未満で任意解約してしまう場合などは、元本割れしてしまいます。
たとえば、当初の掛金額が支払えなくなった場合などには、掛金を大幅に減らし対応することが可能です。


支払った掛金にある程度の制約がありますが、老後のための貯蓄を考え始めているという方は検討されてはいかがでしょうか。
業種によって加入資格(従業員数など)が異なります。まず加入資格があるかご確認ください。

セーフティネット共済

セーフティネット共済は非課税貯蓄として節税に使われていますが、本来の趣旨は少し違います。

Q
セーフティネット共済の本来の目的は?
A

取引先が倒産したとき掛金の10倍まで無利息で借入することができる、企業の連鎖倒産防止です。

セーフティーネット共済がなぜ非課税貯蓄なのかと言うと、解約払戻金が存在するからです。

40カ月以上掛けてから解約した場合には、掛金の全額が解約返戻金として戻ります
つまり経費として支出しながら、貯蓄が出来ることになるのです。

掛金は、個人事業主は個人、会社経営者は会社で支払います。
そして掛金の全額が経費として認められます。

「セーフティーネット共済」掛金

掛金

月々5,000円~20万円まで、5,000円単位で設定することができます。
上限は月額20万円、年額240万円で、総額についても800万円までと上限があります。

状況に応じて増額や減額ができるのもポイントです。

「セーフティーネット共済」注意点

貸付を受ける場合の注意点

貸付自体は無利息ですが、借りた額の10%が掛金から控除されてしまいます。
これまで積み立てた掛金から減らされるというわけです。
他の手を尽くした最後の手段と考えておいた方が良いかもしれません。

解約する場合の注意点

解約返戻金は所得になるため、課税の対象となります。
大きな支出があるときに解約するなど、事前に対策が必要です。

セーフティネット共済は、年払いも可能なので決算直前の対策としても有効です。
(資金に問題がなければですが)

コロナウイルスのように今後も予測不能な事態は起こり得るでしょう。
貯蓄、節税とともに、予測不能な事態に対する最終手段を備える、という意味でも検討しておいてはいかがでしょうか。

確定拠出年金

確定拠出年金は自分で積み立てをする個人の私的年金です。
同じく掛金を全額所得控除することができます。
こちらは、加入者の状況によって様々な掛金上限が設定されています。

注意点としては、次の点などが考えられます。

確定拠出年金の注意点

・60歳まで引出ができない
・維持にコストがかかる
・運用益は非課税となるが、投資のリスクとして元本割れの可能性がある

受取り時は小規模企業共済と同様に、一定の控除を受けられる税制上のメリットがあります。
自分の年金を貯蓄してその掛金が控除されますので大変有利な制度です。

生命保険

こちらは会社経営者の方のみ利用できるものです。

会社で生命保険に加入して、その保険料を経費として計上します。
そしてその契約に解約返戻金がある場合には、非課税貯蓄が出来るということになります。

生命保険に関しては、2019年にバレンタインショックと呼ばれる大きな改正がありました。
節税効果の高い法人保険商品が発売停止になるというもので、以前ほどの大きな効果のある保険契約はできなくなりました。
しかし節税効果は少なくなったものの将来へ備えることは今でも可能です。

保険料は全額経費に計上できるケースだけはありませんし、解約返戻率も保険会社や商品によって様々です。信頼できる詳しい人のアドバイスをもらいながら加入の検討をしましょう。

非課税貯蓄制度・まとめ

おススメの「非課税貯蓄制度」をご説明してきましたが、どの制度も資金支出を伴います。
掛け過ぎには注意しながら、「非課税貯蓄制度」を上手に利用していきましょう。