経営者の方を最も悩ませる原因の一つが会社の資金繰り。
「会社の経営は、資金繰りさえ無ければとても楽しいのに」
という方が大勢いるくらい、資金繰りというのは経営者にとって悩ましい問題です。
なぜ資金繰りは苦しくなるのでしょうか?
そしてその主な原因はなんなんでしょうか?
原因とその解決方法をまとめてみたいと思います。
資金繰りが苦しくなる主な原因
1・そもそも損益がマイナスになっている
資金繰りが苦しい会社の最も大きい原因が損益のマイナスです。
毎月赤字であれば、当然資金はどんどん減っていきます。
そして資金繰りが苦しくなります。
2・お金の出入りの順番が「出てから入る」になっている
これも資金繰りを悪化させる原因で多いものになっています。
ひとつの取引を完了するまでに、
一度原価や経費としてお金を支出して、
商品やサービスの提供を完了、
それから一定期間を経てその対価をもらう
こういうケースが多いはずです。
この形態の取引は増えれば増えるほど資金繰りを圧迫します。
3・設備投資や先行投資が過大で回収が不足
業種によってその大小に差はありますが、事業を行うには先行投資が必要です。
常に先行投資や設備投資を行う必要がある業種もたくさんあります。
この設備投資が自己資金ですべてまかなえれば問題なのですが、その金額が大きくなればなるほど借入などに頼ることになります。
その際に設備投資から借入返済を捻出できなければ、資金繰りは苦しくなります。
4・本業以外への支出が多い
本業の損益がプラスであっても、事業と関係ない支出や投資などがあるとそれが原因で資金繰りが悪化することがあります。
代表的なものとしては、
代表者の個人的支出として仮払金や貸付金、立替金になっているケース、
別事業や子会社などへの投資
などが挙げられます。
5・不測の事態の発生
災害・損害賠償・取引先の倒産など不測の事態が発生した瞬間にあっという間に資金繰りは苦しくなります。
特に取引先の倒産は貸倒損失と今後の得意先を失うダブルパンチとなります。
資金繰りの具体的改善方法とは?
それでは原因別に具体的解決方法を確認していきましょう。
1・そもそも損益がマイナスになっている
こちらの解決方法は以下の通りです。
・正しい損益をきちんと計算する
・そのマイナスの原因を確かめる
・それを解決して損益をプラスにする
これで解決できます。
(簡単に書いてますがこれが一番難しいのはご存じの通りです、、、)
普段から正しいことを当たり前にするということが大事だということがよくわかります。
2・お金の出入りの順番が「出てから入る」になっている
この場合の最初の解決策は、
「出るものは遅く、入るものは早く」
という仕組みになるべく変えることです。
具体例としては、
・注文はお金を受け取ってからの受注生産にする
・割引や特典などで売上の前受制度を導入する
・得意先の入金サイトを早めてもらう
・支払先への支払サイトを遅めにしてもらう
しかし必ずそれがうまくいくとは限りません。
取れるはずの売上や利益を逃したり、支払先から信用を失う可能性もあります。
そういった場合は、その出入りによる一時的立替資金を借入などで準備する必要があります。これを「運転資金」といいます。
「運転資金」を把握してその分を借入でまかなうことは悪いことではありません。
・最大限努力して運転資金を小さくなるように努力する
・それでもだめならその場合はその資金を把握して銀行融資などで準備する
これで資金繰りに追われることはなくなります。
この運転資金は事業規模が大きくなるほどそれに比例して大きくなるのが普通です。
事業規模に応じた資金の準備を心がけましょう。
きちんと利益が出ている会社であれば、運転資金は銀行が融資してくれます。
3・設備投資や先行投資が過大で回収が不足
まず最初の計画で資金計画をきちんと立てます。
多少の計画の誤差は必ず生じますので、少し計画を下回ったとしても資金繰りが苦しくならない余裕のある資金計画を立てておくべきでしょう。
そしてそれが達成できていない場合は、その原因を究明して改善していきます。
場合によっては計画の練り直しをしたり、それに応じた追加融資を資金調達先や金融機関に打診する必要があるかもしれません。
投資と回収のバランスやスピードなどをきちんと合わせていく作業が資金繰り不足を招かない対策となります。
4・本業以外への支出が多い
この対策は簡単です。
・その投資や支出を回収する
・そもそもそのような支出をしない
会社の経営に関係ない多額の資金支出は、会社の大事な経営資源を無駄遣いするという大きな罪を犯していることになります。
経費になっていないので損失とはならず、一見問題が無いように見えるのもこのケースの厄介なところです。
資金繰りを悪くしている原因は早めに解消してしまいましょう。
5・不測の事態の発生
これは普段からリスク管理がものを言います。
安全余裕度の高い経営を日頃から行うことが大事です。
また事前に会社のリスクを把握して、それが生じないように対策を練ることで資金の穴を最小限に留めます。
・損害保険に加入する
・リスクが高い取引は見直す
・得意先の経営状況を把握し、与信管理を行う
・他人(1社、1人)への依存度をあまり高めない
などなど
このような日頃からのリスク回避により、資金繰りに大きな穴をあける可能性を減らします。
また普段から経営状態が良ければ、その結果財務内容もよく、金融機関などからの信頼も高くなるはずです。
そのような状態であれば不測の事態が発生しても、金融機関の支援などによりなんとか乗り越えられます。
普段の積み重ねがやはりここでも大事ですね。