今日は一日事務所で仕事。
本当は午後から個人事業主の方と、
法人成りについて打ち合わせの予定でしたが、
お忙しい方なので今日はキャンセルになり、明日お会いすることになりました。
そこで今日は明日に備え、法人成りについてお話したいと思います。
事業を行う際、個人事業がいいのか、法人を設立して会社運営がいいのか。
なかなか判断が難しいところです。
税負担の観点からは、事業の利益が700万円を超えたら法人経営の方がいい
などと巷では言われています。
この金額については、その事業主の個々の事情によって変動しますが、
これくらいの利益が出るようになったのであれば
法人成りを検討すべきであることは確かです。
これは事業を法人化することにより、その利益を法人と個人に分散、
さらに事業主であった個人は、法人から給与を受け取ることにより
給与所得控除という一定割合の控除が認められることになるため
結果的にトータルの税負担は下がるという仕組みを利用するものです。
また消費税の基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合にも、
消費税の観点から法人成りを検討する時期でもあります。
場合によっては課税事業者になる時期を繰り延べられることがあります。
その他同じ支出でも税務上の経費として認められる範囲に違いがあり、
こちらも法人の方が有利となっています。
しかし法人成りは税負担だけを考慮して決定できるものではありません。
法人成りをすれば節税が可能になったり
社会的信用が得られるというメリットがあるのは確かですが、
逆に運営のための余計な経費がかかってしまうというデメリットがあります。
社会保険は強制加入となりますし、
赤字でも均等割りいう税金を払う必要が生じます。
また個人の申告のように、自分で帳簿をつけて申告することはほぼ不可能になり
会計事務所に毎月の会計業務や決算申告を依頼する必要が生じます。
これらのコストは決して安くはなく、税負担の軽減分を
はるかに超えてしまうこともあり得るわけです。
ですから法人成りをする際には、
税負担、社会保険の有利不利の判断を行ったうえで、
新たに生じる費用のことも考慮して検討しなければなりません。
今回のご相談のケースは信用上の問題から
会社を設立しないと話にならない状態です。
そこでもう既に会社を設立することは決まっているのですが、
それでも明日もう一度、法人成りによるメリットとデメリットをしっかりお伝えし、
晴れて法人設立となるよう、お手伝い頑張りたいと思います。